MAGAZINE

「うちにあるもの」–Representation–

Art Collaboration Kyoto サテライトプログラム

「うちにあるもの」–Representation–

展示作家:山田晋也、Antiques & Art Masa

会期:11月17日(木)–23日(水・祝) 12:00–17:00
会場:有斐斎弘道館(京都市上京区元土御門町524-1)

主催:Pulse of Silence 実行委員会
入場料:1,000円 (お抹茶代として)

 

山田晋也の根本に東洋思想があり身自、の内面、原点への回帰、その内縁に広がる静寂の世界を描き出します。自分自身の内面に向き合い、生み出される抽象的なイメージの断片は、独特の視覚言語をもって、デフォルメと身体的な描画行為を通してキャンバスに吐き出され、ある種の普遍性と美しさを帯びた作品となり、わたしたちにメッセージを投げかけます。

本企画展は、通常非公開の場所である有斐斎弘道館にて特別に展示します。江戶中期の儒学者、皆川淇園によって作られた学問所跡地であり、円山応挙をはじめ多くの文化人との親交の場でありました。皆川淇園は独自で難解な学問である「開物学」を創始し、儒教の経典『易経』にある「開物成務」に由来があります。「開物」とは「物」を「明らかにすることで、「名」と「もの」の関係性を明らかにしようと試みるものでした。私たちはすべてのものに「名」をつけます。「名」があってこそ初めてそれをそれと認識するからです。人は言葉で意味を理解しますが、古代の人は私的な先入観なく、自然に感じたまま、純粋で理想的なコミュニケーションが成立していた、と淇園は考えました。経典の解釈は、主観的思考によって意見の対立があるので、これを「知性」で解決することはできない、知性の限界を超えるのは「感性」であり自然に感じて発せられた声には意味が含まれている、と考えたのでした。
本企画展はインスタレーションとして、淇園の果てしない思索の場であった学問所で展示することにも意味があり、東洋思想を根本とする作品を通して、「想像表象」の世界へ誘うことをテーマとしています。「想像表象」とは、それぞれ個人の思考作用によって心の内に現れた内的な対象を知覚対象と区別する意味で、鑑賞者に自身の内面の心の有り様に関心を向けて静寂の世界を感じてもらいたいと考えます。ACKが国際的なアートフェアであることから、作品展示とともに美しい庭園や茶室、設えも鑑賞いただき、我が国が連綿と培ってきた文化、思想、価値観に触れる機会となればと考えます。